いとおしい

ああ、この子までも・・・そんなありきたりな台詞がよぎる。奇しくもこの病名を宣告されたとき、重い石を大量に飲まされ川の底に沈められゆく気分になった。

前のブログから読んでいただいている方はご存知でしょうが、ウチにはラムネさん(正式登録名:LEMONADE)がおります。アビシニアンブルーの女の子。今年8月に1歳を迎えました。
元々は黒猫のヨル、という捨て猫を拾って育てていたのですが、昨年7月に腎不全で亡くなりました。6歳で発覚、9歳まで頑張ったのですが、最期はあれよあれよという間に衰弱し、失われていく意識の中、呼びかけに少しだけ鳴いて返事してくれたのを今でもよく覚えています。もっと早くに気づいていたら?最期の瞬間はうちで看取られたかったんじゃないか?なぜ決断が下せなかった?・・・後悔は尽きません。今まで実家含め間接的にも猫を飼う環境でずっと育ってきましたが、ペットの死というのは身近で当たり前でしょうがないことであり、数日行方不明だったねーちゃん(白猫)が庭に置かれたビールケースの隙間でひからびて亡くなっていたときですら、涙が出るほどにつらいと感じたわけでもなく。しかし初めて個人的に飼ったヨルの場合は、人目もはばからずに泣いてしまいました。なんとも勝手な人間様です。
ぐるぐる巡る自責とペットロスから脱却しようと、ヨルには申し訳ないものの、半年が経たないうちから飼い猫探しを始めました。再び、不条理にも捨てられてしまったなどの不遇な子を迎え入れることも考えたのですが、ヨルのときは当初から腹に虫がいたり虚弱だったりしてかなり大変だったので、できれば今度は健康で元気な子をと考え、以前から憧れであった血統書つきのアビシニアンをブリーダーさんより直接譲っていただくことに決めました。今思えば、純血種には純血種なりにかかりやすい病気の危険性というのもあり、血統書というのは健康な家系であることの証明とは違うのですが、出自がわかることで安心できることに、ある種すがるような気持ちで決めたのでした。譲っていただく直前に不運にもヘルペスウイルスに感染してしまい、ラムネさんもまた頻繁な通院とケアが必要で、それはそれで大変な日々ではありましたが、大きくなるにつれて週一回の体調の落ち込みが季節の変わり目だけとなり、この頃は安心して生活できる程になっていました。
夏も終わりを告げ、少し涼しくなってきた頃、ラムネさんの食欲が無くなってきました。今までと同じように遊び、ごはんもねだるのですが、どうしても残してしまう。水はよく飲む。おしっこの臭いが薄い気がする・・・嫌な予感がしました。近所の獣医に連れていくも「季節の変わり目だからヘルペスが悪さしてるんじゃないですかね〜」「念のため、血液検査をしませんか?」「いやあ〜、こういうのは負担になるといけないんですよ〜。トイレはちゃんと掃除してますか〜?新鮮なエサがいつでも食べられる自動給餌機を導入してみてはいかがですかね〜?」というやりとり。なんだか死んだ祖母を、点滴を外してしまうからという理由だけで拘束していた介護士の独特な口調を思い出し信用できなくなったので、少し離れた別の獣医にも行ってみることに。そして、即、血液検査。
「ジンフゼンですね」
前の獣医とは対照的に、笑顔もなければ、憐れみの表情もなく、ただ淡々と告げられる病名。予感は的中してしまった。ああ、この子までも・・・そんなありきたりな台詞がよぎった。そのまま1週間の緊急入院。様々な可能性を考え、レントゲンやエコー検査、体調の回復を待ってのバリウム検査等々。腎不全となったきっかけは明確にはわからないが、遺伝的要因で腎臓の中に嚢胞ができていたことが原因であると判明。左右両方に数個見られ、右側にいたってはかなり大きく、他の臓器を圧迫してしまっている。今後、これらがさらに大きくなったり、また増えたりする可能性もあり、それにより腎不全の症状が進行、あるいは他の疾患を引き起こしていく病気だそう。退院後は毎日点滴を受けながら週一回の血液検査で回復具合と進行度合を様子見ています。

不思議なことに、あとどのくらい生きられるかわからない命と知ったとたん、より「いとおしく」感じられるのは、いかに人間様が勝手な存在だということを物語っているのかもしれません。不運なラムネさんですが、うちに来たことだけは幸運だったと思わせてあげられるよう、これからも共に生きていきたいと思います。