絵コンテ

絵コンテとは、映像をつくる上での設計図です。本来は。
でもこれが結構、ないがしろにされているんですよね。

かつて昔のとある偉大な映画監督様が「絵コンテ描き終わったから僕の仕事おーわりっ!」と言い放ったと聞いたことがあるようなないような。つまり、そこに描いた通りのセットが作られ、そこに指示してある通りに役者が動いて台詞を言えばいいんだ、という。まあ、その通りですよ。極論にせよ、間違えてはいないです。でもね、この現代日本、そんな時間的予算的余裕はないんです。ましてや名が売れずに映像業界の底辺に這いつくばっている僕には、到底真似のできるものではありません。

まず、事前に張り切って絵コンテを描いたところで、9割はその通りにできず無駄な作業になります。だから、絵コンテを描くのは撮影直前です。だいたいの企画構成案が固まった時点でスタッフや出演者を確保し、ロケ場所を極力近場でまとめたら、極力出費を抑えた最低限の機材をレンタルし、ぎゅうぎゅう詰めのタイトなスケジュールが組まれます。そういった様々な制約を考慮した上で、その中で実現可能な表現を絵コンテに反映させていくわけです。でもじっくり考える時間はもらえない。場合によっては台本や構成案に文字を書き込んだものでカット割りを伝えたり、箇条書きの文字コンテで済ますことになってしまうのです。それでも天候や、スタッフ出演者の技術的限界や、偉い人の鶴のひと声で、その設計図は逐一変更を余儀なくされます。撮影はわいわいがやがやと楽しそうに思われるかもしれませんが、実は監督にとっては、自分が事前にイメージしたものがバラバラと壊れていく瞬間の積み重ねなのです。それでも必死に、理想とかけ離れぬようにもがく戦場なのです。

だからね、絵コンテを描いてみようと思いました。誰に頼まれたものでもない架空の作品の。今まで数本の自主映画も撮りましたが、それだって仕事以上に制約が多いわけでなかなか自由にいかないものだし。映像作家が自由な個人的表現を求めて創作をするとなると『絵コンテをもってして完成』というところにたどり着くのであります。

でもね、僕は絵がすんごい下手なんですよ・・・そりゃもう、致命的なくらい。

らくがきちょう(練習)