清水 伶 × 朱理
シングルチャンネルビデオ 8分37秒
手紙と封筒
2025

高校生の娘をとある事件で亡くした母親・朱理さん。今は家族とも離れ住まうこの場所で、よく散歩に訪れるという景色の中、当時の体験を語る。亡くなった直後は霊柩車での体験から狭い場所が苦手になり、娘への後悔と罪悪感に苛まれた。家族の怒りとは対照的に悲しみしか湧かなかったが、裁判を経て加害者と向き合い、出所後の生き方を願う。今後は、辛い人が回復できるような場所を作りたいと語った。
朱理さんが持参してくださったおりんの音が、静かに語るその様子とぴたりと合って、喪失が波紋となって消えていくようなイメージが脳裏によぎりました。ちなみに各展示作品の横に設置した、喪失当事者の手紙の上に置いた重石は、この撮影時に出会った河原の石を使用しています。川はやはり三途の川などを想起させ、こちらとあちらの区切りの匂いを会場にもと思い使用しました。