05_からっぽのいすで向き合ったら

清水 伶 × 彗星
デュアルチャンネルビデオ6分31秒
椅子2脚、テーブル、スタンドライト、観葉植物、カーペット、手紙、封筒
2025

11歳で父を自死により失った彗星さん。家を支えるヤングケアラーとして日々を過ごすなか、唯一の心の支えだった父の不在は、愛情と安心の喪失を意味していた。遺されたのは「ママを守ってあげてね」と綴られた父の遺書。以後、子どもとしての役割よりも、大人の責任ばかりが背負わされていく。夜の仕事をする母、子どもを理解しない祖母、居場所のない家。制服のまま高級クラブで待たされた夜、母には「表通りでは生きられない」と告げられた。本作は、喪失と背中合わせの幼年期の記憶と、「世間」とのずれの中で生きてきた彼女の言葉を通し、見えづらい痛みに光を当てる。
同じく喪失をテーマに作品をつくっているアーティストでもある彗星さん。少しハードルの高い、聞き手と語り手の一人二役をお願いしてみました。展示では部屋の中央に観葉植物などと設置し、目玉作品として注目を浴びていました。

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