23 x 16cm
2022
Oil, acrylic on canvas

＜コンセプト＞

絵の具は再現性を邪魔するノイズであり、鑑賞者の被写体への集中を阻害し考察を促すエフェクトのひとつだと考えています。なので私にとっては被写体を正確に描くことが重要なのではなく、絵の具でどう描くかを大切に作品制作をしています。
被写体の再現は写真や映像メディアの方が相応しく、絵の具で描くということはキャンバスへイメージを再現するということでは正確性に欠けます。どうしても作家の意識や手癖が入り込むので、映像的に言えば、絵の具は再現性を阻むノイズのようなものと言えます。
ノイズとは何か？例えばかつて主流であったVHSテープのそれのように、夢のような映画鑑賞のひとときを邪魔する存在。しかしそれは瞬時に鑑賞者をストーリーから引き剥がし、冷静に作品を見つめ直す時間を与えてくれるものでもあります。描かれていたものは本当に自分が受け取っていたようなものであるのか？作品に映っている事象や事件、問題を疑い見つめ直すことを促します。
アートに話を戻すと、ノイズである絵の具で表現された作品は、作家の身体的心象的感覚が込められた「描く」という行為そのものにより、鑑賞者を動かし得るものであるということです。
ここに描かれた肖像は、あなたに何を語りかけますか？