清水 伶 × 南部 節子
デュアルチャンネルビデオ 9分18秒
手紙と封筒
2025

夫を電車への飛び込み自死で亡くされた南部さん。初期段階で鬱病に気づけなかったこと、最期の電話に優しい言葉をかけられなかったことへの後悔が、今も胸に残っているという。死因を周囲に伏せ、悲しみに暮れるが、子供たちの支えや言葉ではなくただそばにいてくれた友人の存在で少しずつ安定を取り戻した。「乗り越えることはないが、抱えながら前を向く」と語る彼女は、自死に対する偏見をなくし、遺族が語れる場を増やしたいと願っている。
撮影はご自宅まで伺わせていただきました。美味しいお茶や柿、息子さんが作ったというお菓子などいただき、何でもオープンに話す彼女の空気感は、とても悲しみからは縁遠い人のように感じられ、それでもインタビューで過去を振り返る際に見せる涙は、やはり抱えながら前を向かれているんだなと強く印象に残っています。自死遺族と自殺防止にずっと関わってきており、わかちあいの会もされていることから聞き役もお上手なのだと思います。そこで、ご自身で質問も担っていただくような演出で、記憶や心を自分で覗き込むような作品として仕立てました。
